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嫁の実家にとられるくらいなら(1)

2020年1月27日「月曜日」更新の日記

2020-01-27の日記のIMAGE
一、二週間もするうちに、江藤さんの怒りも少しずつおさまってきた。たしかに今は、一ら介のサラリーマンの給料で家を買える時代ではない。そう考えれば、妻子を抱えて社宅を追い出される息子が哀れにも思えてくる。息子夫婦が神妙な態度で頼んでくるなら、頭から拒否するのも大人げないか......。もちろん、住み慣れた我が家を壊して二世帯住宅に建て替えるなどという計画は、断固、秘拒否しなければならない。この家はまだ一○年や二○年、立派にもつはずだ。いくらか手を龍入れれば充分に同居できるのではないか。二階に一部屋増やしてやって、キッチンと風呂をきれいにして......。ところが、あれ以来、邦夫さんからは何の連絡もない。母親の口から父の「断固、同居拒否」宣言を伝え聞いて、縮みあがったのだろうか。それとも怒っているのだろうか。しだいに江藤さんは心配になってきた。ひょっとして嫁の有香が気を悪くしたか....:。一ヵ月も過ぎた頃である。悦子さんがふたたび、言いにくそうに切り出した。「邦夫のところね...:.、何だか有香さんの実家のほうで家を建てる話が出てるらしいわ」「なに......!」驚きのあまり、しばらく声も出なかった。有香さんの実家は埼玉県の農村地帯にある。

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