家づくりの現場で驚くこと(2)
2020年1月19日「日曜日」更新の日記
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- 二世帯住宅の場合はより深刻だ。親世帯は「玄関はいっしょ、表札も一つでいい」と言う。子世帯は「やはり玄関は二つ、表札も別々に」と言う。親世帯は「やはり内部で自由に行き来できるほうがいい」と言う。子世帯は「行き来できないほうがいい」と言う。最近は逆に、子世帯が内部の通路を希望し、母親のほうが「別々にしてほしい」と言い出すこともある。しかし、家族それぞれの希望が違うこと自体は、さほど驚くことではない。「家族は一つ、夫婦は一心同体」などと考えるほうが、たいへんな勘違い。夫婦であれ、親子であれ、心のなかで考えていることは違うのが自然だ。早い段階で相違が露呈するのはむしろ喜ぶべきこと。問題点がはっきりすれば、これからじっくり時間をかけて、一つの方向に練り上げていけるのだから、幸先よいスタートと考えるべきだろう。困るのは、各人が本心をなかなか語ろうとしないことだ。たとえば、「それでは、私はこれで。家のことはすべて妻に任せてありますから」などと言って、すぐ席を立ってしまう夫たち。何千万円というカネをかけて生涯に一度の家を建てようというのに、どうしてそこまで無関心でいられるのか......、私はいまだに信じられない。
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