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一○○○組以上の血しぶきと感動(2)

2020年1月30日「木曜日」更新の日記

2020-01-30の日記のIMAGE
「同じ屋根の下に住んでいるのに、息子夫婦は月に一度も顔を見せない」実際に私は、日本住改善委員会の住宅相談でおばあちゃんたちからこんな不満の声を数知れず聞いている。一方、親夫婦と同居したために体調をくずしたり、精神的に参ってしまうお嫁さんもいる。ある主婦は同居に踏み切って以来、姑の顔を見るだけでじんましんが出るようになったと訴えた。「いくら何でも大げさな」と思われるかもしれないが、話を聞いてみれば同情したくもなる。何しろその姑は、突然、ノックもせずに息子夫婦の寝室を開けるというのだ。しかし、同居にはすばらしい面もある。私は長年、同居住宅の設計に携わるなかでたくさんの感動も体験してきた。「家族っていいものだ」と実感させられることが何度もあった。なかでも忘れられないのは、ある葬式で目撃した光景である。二○年も前に同居住宅を建てた一家のお父上が亡くなった。九○歳を目前にした大往生だった。その葬式の席で誰よりも悲嘆にくれ、涙を流していたのは、勇との同居に最大の抵抗を示したお嫁さんだったのである。tfl同居にはドラマがある。同居は奥が深い。私など最近では、若夫婦が二人だけで住む家の設計には気恥ずかしさや物足りなさを感じるようになってしまった。同居住宅はおもしろいのである。最初から同居を「やむを得ないから」とか「他に方法がないから」と決めつけてしまっては、同居のいい部分が見えなくなる。「しかたないから同居」でなく、「よりよく暮らすための前向きな同居」をめざそうではないか。ただし、そのためにはいくつかの工夫といくらかの心得が必要だ。この本のなかで、私がこれまで五○○軒以上の同居住宅を設計し、一○○○組以上のドラマを目の当たりにした体験から導き出したノウハウをご紹介していきたい。

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