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「夫婦」が試されるとき(1)

2020年1月22日「水曜日」更新の日記

2020-01-22の日記のIMAGE
ふたたび私自身の話に戻る。私は、人様の住宅を設計して、建ちあがるまでの監理を業とする建築家である。その私自身が設計する以上、わが家の建築では、私に無関心を装う余地などなかった。むしろ、妻のほうに「無関心」を装ってほしかったくらいである。しかし、彼女はそんなおとなしい女ではなかった。なにしろ建築家の妻だから、あれこれと耳学問や知識だけは豊富である。私の設計した住宅が完成するたび、見学に行く。「あの家はよかった、ウチもあんなふうにしてほしい」「こんな設計ではあの変な家と同じようになってしまう。これだけはやめて」口うるさいこと、このうえない。私のほうは「時間がない、カネがない、設計は進まない」で焦りまくっているのに、女房の頭のなかはマイホームへの夢であふれかえっているのだ。予算どころか、法律も、規制も意識に入らない。そのことで、何度、夫婦喧嘩になったことか......。実際、書きかけの設計図を投げつけたことがある。「もう家なんか建てるのはやめよう」と怒鳴ったこともある。一度などは「しばらく時間を置こう」と決めた。それでもマンションは出なければならないのだから、買った土地にテントを張って暮らそうとまで思った。

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