家族 マイホーム | Good 住mile Company

トップ > 令和2年1月> 13日

おわりに家づくりの原点に立ち返る(2)

2020年1月13日「月曜日」更新の日記

2020-01-13の日記のIMAGE
「家」の何たるかを見失ってしまう。家の原点は、家族が安心して身を寄せ合える場所だ。そして家族の原点は「ともにいつまでもいる」ということだ。私たち建築家の仕事は、その大事な家づくりをお手伝いすることである。しかし、家を建てるのは、あくまでも建て主であり、その家族である。夫の役割とは何か。父親としての義務とは何か。妻を、子どもたちを、家族を守ることではなかったか。運動会でビデオカメラを回すことでもなければ、妻の子育てを応援することでもない。「うだっが上がる」という言葉がある。漢字で書けば「卯建」である。本来は木造建築で、隣家との間に立てる防火壁のことだった。一家を守る壁である。これがぴんと立ったウサギの耳のように見えることから「卯建」と呼ばれる。壁の内部は木軸に土だが、外面は立派な漆喰塗りになっている。それが、表通りに並んで立つ。「うだっが上がった」と言えば、「立派な家が建った」という意味である。それが転じて男の甲斐性や能力を示す言葉にもなっている。反対に「うだっが上がらない」と言うのは「甲斐性がなく、いつまでたっても冴えない」ということだ。せっかく家を建てるなら、立派に「うだっ」を上げようではないか。家族をしっかり守ってくれる、堅固で安全で柔軟な家を建てようではないか。たくみ本書は一九九九年一月から九月まで日本経済新聞に連載された「匠な家族論」をもとにして書き下ろしたものである。出版に際しては、日本経済新聞社の伊藤敏克さん、講談社の古屋信吾さん、金子麻美さん、そして松本薫さんの温かいご協力に負うところが大きい。心より謝意を表したいと思う。

このページの先頭へ